恋せよ!








やぁ、グレンジャー。
いきなりだけど言いたい事があるんだ。
でも君に声かけたとしても余計な事言う気がするから手紙にした。
単刀直入に書くよ。
僕は君が好きだ。



……。
駄目だ、駄目だ、駄目だ!

そこまで一気に書いた手紙(というか適当に破った紙)を丸めて投げた。

大体、これじゃあちょっと怪しすぎだろう。
いや、でもこれでもよかったのか…?
いやいや…でも、やっぱり……。


「どうしたらいいんだっ!!!」


バン!と誰も部屋に居ないのをいい事に机を叩く。
その直後に手が痛くなりちょっとだけ叩いた事を後悔した。



好きな子に気持ちを伝えるのは難しいものだ。
しかし、ドラコの場合はそれがもっとも強い。

第一に彼が想いを寄せている彼女とはハーマイオニー・グレンジャー。
あのドラコ・マルフォイがハーマイオニー・グレンジャーに好意を持っているなんて!
と、誰かが知ったら思うだろう。
それに彼女の方はドラコを嫌っているし、ドラコも最初は嫌っていた。
だが恋なんて単純でいつの間にか好意を寄せている自分の気付く。
そしてその気持ちに悩み、悩み…ついに告白を決意する。
まさにドラコは今、その状態であった。

第二にハーマイオニーはマグル出身者である。
純血主義のマルフォイ家の息子がそんな彼女に惚れるなんてあってはいけない事。
だが、それが起こってしまったのだ。
もちろんドラコはその事実にも悩んだが、結論…ハーマイオニーを取った。
家の事など後回しにしてとにかくこの気持ちを彼女に伝えようと思ったのだ。



そして、声をかけるにしろまた嫌味を言いそうになるので手紙を書く事にした。
いわゆるラブレターとか言うやつだ。
「恥」という単語が浮かんできたがそれは捨てた。
とにかく、とにかくこの想いが伝わればいい。
ハーマイオニーに断られる事は考えない。いざとなったらいざ、だ。






「…やっぱり、君が憎いよグレンジャー」


落ち着きを取り戻したドラコは力なく机に伏せながら弱々しく呟いた。
こんなにも自分の心を掻き乱す彼女が憎い。
だけど好きだ。

「……好き、だ」

…。

一人で彼女の顔を思い浮かべながら何となく呟き一人で赤くなった。
そしてまた頭を抱え込んで悩む。
聞こえるのはため息ばかりだった。











※こういう系の話ってかなり好きです。